審査員講評
 


長田 智行審査員長 (株式外会社シフカ 代表取締役社長/ディジタル・イメージ 代表)

 今年のクリスマスグラフィックコンテスト200は、昨年以上に力作がたくさん集まり審査は大変でしたどの作品もレベルが高く見応えの有る物ばかりでした審査には苦労しましたが皆さんの絵からのパワーをもらってとても楽しい一日でした。
 応募者の皆様審査員の皆様事務局の皆様本当にありがとうございました。

■準グランプリ・迷うキリスト
 この作品は一目で惹かれた作品です。とてもオシャレで繊細な仕上がりです。タイトル「迷うキリスト」のデザインやレイアウトの処理がイマイチで残念です。

■一般クラス静止画部門優秀賞・イルミネーション
 この作品はクリスマスらしい、心を清めてくれそうな雰囲気を持った作品です。もう少し工夫してインパクトが強く出るとなお良かったと思います。

■一般クラス静止画部門入選・<thanks>
 この作品は色の組み合わせときれいさに目をひかれました。中に描かれているキャラクターも元気がよく、面白い作品になりました。毎回出品してくれてその度に目立つ作品です。

■一般クラス静止画部門入選・「cage」
 この作品は審査員のほとんどの人が高く評価した作品です。たった今のこの世の中を表現した感じがします。

■一般クラス静止画部門入選・クリスマスサンカ
 この作品はクリスマスらしくて、明るく楽しい作者の優しい人柄を想像させてもらえる作品です。左に有る葉っぱは本物の葉っぱをスキャンしたものだと思いますが、そのあたりの表現が作品の表現の巾を広げていると思います。

■一般クラス静止画部門入選・Holy Night Drops
 この作品もクリスマスらしい優しい作品です。直ぐにでもクリスマスカードになって販売されそうな完成度を持っています。

■一般クラス動画部門優秀賞・APOCALPSE Vol.18
 この作品は超大作です。このクリスマスグラフィックコンテストが始まった初回から毎回応募してくれて昨年も賞を取っています。

■一般クラス動画部門入選・墓参り
 この作品はとても間のいい作品です。なかみはとても単純なストーリーですが見る人の想像力をタイミング良く利用した一発芸的作品です。

■一般クラス動画部門入選・ちいさなサンタさん。
 この作品は表現が新鮮な作品です。3D‐CGで作られているのですが、キャラクターや背景の表現が紙や粘土で作られているような暖かい風合いを持つた作品です。

■一般クラスオーサリング部門入選・「きせかえららこちゃん、クリスマスバージョン」
 この作品は夢のある可愛い作品です。衣装を選んだり髪型を選んだりして、背景や音楽が変わる事により、短いメルヘンの世界が見る人に広がります。

■一般クラスオーサリング部門入選・-----white Xmas-----
 この作品はテンポや色の変化と可愛らしさを持つた楽しい作品です。パソコンが楽器になって親子で楽しめる作品です。

■中学/高校生クラス静止画部門入選・2.5Dの森
 この作品はタイトルの「2.5Dの森」のように二次元と三次元の間でクリスマスをうまく表現できたと思います。

■中学/高校生クラス静止画部門入選・闇ウサギ
 この作品は3Dの表現のうまい作品です。宙に浮いたウサギが面白いです。

■中学/高校生クラス静止画部門入選・しあわせな記憶
 この作品はとても明るく華やか表現からクリスマスの楽しいイメージと厳かなイメージと見る人に様々なクリスマスのイメージを創造させる良く出来た作品です。

■中学/高校生クラス静止画部門審査員特別賞・「ペットボトルキャンドル」
 この作品は実際にあるペットボトルのクリスマスツリーをカメラで撮影してコンピュータで画像処理した作品だと思います。色がとっても奇麗で静かでありながら華やかな表現が出来ていると思います、もう少しコンピュータの表現がプラスされると良かったと思います。

■中学/高校生クラス動画画部門努力賞・saro
 この作品は短いストーリーですがフラッシュで丁寧に作られています。

■小学生クラス静止画部門入選・「クりすますつりい」・KUGO
 この作品は偶然の表現かもしれませんがオシャレな色使いと大胆な構図が見る人を引きつける不思議な作品です。

■小学生クラス静止画部門入選・やっときたクリスマスイヴ
 この作品は子供らしい豊かな表現の作品です。

■小学生クラス静止画部門入選・南の国のサンタ
 この作品は明るい真夏のクリスマスがうまく表現出来ている楽しい作品です。

■小学生クラス動画部門入選・クリスマス
 この作品はタイトルもストレートですがなかみもストレートな、それでいて楽しい作品です。

■小学生クラス動画部門入選・Present for you
 この作品は音楽もゲームのなかみもとっても楽しく出来た作品です。夢中でマウスのボタンを押してしまいます。

■小学生クラス動画部門入選・びっくりトナカイ
 この作品は楽しい動くクリスマスカードに仕上がっていると思います。

■信濃毎日新聞社賞・灯りを求めて
 この作品はなかみはとても重いストーリーですが各場面が絵画的にデザインされていて良く出来た作品です。

■関東経済産業局長賞・Memorial Day
 この作品は完成度の高い素敵な作品です。色や形アイデアはとても良いので構図の工夫をもう少し考えるともっと良くなると思います。

■長野県知事賞・平和のクリスマス。
 この作品はタイトルそのままに世界の平和を願う楽しくあり世界平和を考えさせられる作品です。

■長野教育委員会賞・心まであたたまる不思議なブーツ
 この作品はクリスマスらしい、まさに心あたたまる優しい作品です。


上田 秀洋審査員 (信州大学教育学部 教授)

 私は、一昨年・昨年に続き本年も楽しく審査の手伝いをさせて頂きました。
 本年は、昨年に増して応募者が増加したとのことで、多くの方の熱いエネルギーを感じる事が出来ました。

 小学校低学年の優しさ溢れるもの、元気なものから、中学・高校生クラスの堅実な歩みの感じられる作品、そして一般の完成度の高い労作まで幅広い様々な作品群に会うことができました。今回はその中で、特に様々な傾向の作品を心掛けて推薦させて頂きました。

 特に記憶に残る作品としては、静止画部門で絵画的表現性の高い作品「迷うキリスト」「cage}、モニターの光学的特性を生かした「イルミネーション」や新たにパソコンの機能を生かした「ペットボトルキャンドル」、完成度の高い「Holy Night Drops」「2.5Dの森」「闇ウサギ」、そして伸びやかな情感を称えた「クりすますつりい」、題名のとおり「心まで温まる不思議なプーツ」、そして他の受賞作品では有余る程のエネルギーや感性豊かな探究心をも見せて頂きました。

 動画及びオーサリング部門においては、受賞常連の「APOCALPSE Vol.18」は、高度な技術を駆使しつつ手堅いストーリーの構成力でもって壮大な宇宙絵巻を繰り広げていました。申し分ない作品でしたが過去の受賞作品や現在の社会情勢から、少しテーマ的にタイミングが悪かったとの意見でした。
 「ちいさなサンタさん」「きせかえららこちゃん、クリスマスバージョン」は丁寧な造りがクリスマスの題材に良く合っており作者の温かい心が伝わってきそうです。「灯りを求めて」はとくに感性の閃きが感じられました。今後より一層整理しつつ煮詰めて行って頂きたく、次回の作品を期待いたします。
 ユーモアー・タッチの作品は1点と少なく、また小・中・高の学生の皆さんのは時間が足りなかったと思われる物が多くあり残念でした。特に子供達の作品には、完成度はそれ程必要なく又短くても良いと思いますが、一人一人のちょっとしたその人らしさがより一層覗けばと思います。

 来年のコンクールが待ち遠しく感じられます。なお、蛇足ですが受賞の中に見た事のある様な絵のスタイルがあるのは少し残念です。


中村 泰敏審査員 (有限会社中村企画 代表)

 クリスマスグラフィックコンテストとして、作品応募件数が600点を越え、年を重ねるごとに盛んになってきました。
たくさん並んだ作品には、どれをとってもそれぞれの思いが込められて創った作品であり、無下に落としてゆくには忍びないものがあります。しかしそこは心を鬼にして、長田審査委員長を中心に厳正に審査を致しました。

 今年度の応募作品は、全体的に見まして非常にレベルが高くなってきている印象を持ちました。これは、高性能化したアプリケーションソフトの普及も影響している様にも思います。全体的にレベルは上がったのですが、その反面、強烈に目を引くような独創的な作品が少なかったように思います。

 一般クラスの静止画部門に関して、テクニック的な面で優劣の差が少なくなってきており審査も難航致しましたが、最終的にはイラストとしての訴求力があるかないかによって決まりました。しかしこの一般クラスにおいては、期待感も強く、もっと独創的でメッセージをもったイラストレーションを望みたいものです。

 一般クラスの動画部門に関しては、少々期待が外れました。理由としては、演出面で力不足の作品が多かったことです。動画については、ただ動くだけではありません。キャラクターに対する感情移入が大事なのです。またストーリーの展開による演出が必要なのです。2D,3D作品に拘わらず、今後の応募作品に期待致します。

 中学・高校生クラスの静止画部門・動画部門に関しては、レベルの差がはっきりと別れてしまうようです。しかし優劣を問わず可能性を秘めた作品も多く、デジタル世代の今後の成長に期待しております。

 小学生クラスに関しては、いつも驚かされる部分と、おもわず微笑んでしまう部分があります。今年度の審査もその通りでした。ただ今回は、何かが違っているように思いました。それは自由曲線で描いている作品が多いことと、イラストにメッセージが入っている作品が多いことです。

 昨年に引き続き、今回もグランプリ作品がなく、準グランプリ作品となり、寂しい気が致しますが、総評として全体的にレベルアップしていることは、喜ばしいことと思います。また応募作品が今後さらに増えていくことも大変結構なことと思います。
 今後の作品制作にあたり、期待したい事といえば、静止画・動画両部門に関して言えることですが、テクニックに溺れず、イラスト・映像としての訴求力、メッセージ・ユーモア等を交えたアイディアの活用などを視野にいれて、独自の作品を創作していただきたいと思います。


菅原 明彦審査員 (イラストレーター/ディジタル・イメージ会員)

 コンテストの審査に参加させて頂いて3回目となりましたが、回を重ねるごとに全体的なテクニックのレベルが上がっていることは目を見張るものがあります。
 反面、表現手法の向上によってメッセージをより伝えやすくなったことで、テーマがまとめ切れていないということが目立つようになってきたと思います。これからはテクニックは高いレベルになって来ていますので、一つのテーマを考えたときにそれをより深く調べる事が必要になったのかもしれません。

 一般部門では、今年は時節柄、「戦争と平和」を扱った作品が多かったのですが、こういった時期にはこのようなテーマを選ぶ傾向が強くなりますので、似た傾向の作品の中に埋まってしまい目立たなくなってしまう感覚を覚えました。同じテーマの作品が集まった中で自分の作品を目立たせるためには相当テーマを練り込むところまでいかないと難しいのだと感じさせられました。


 
 
 
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