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「おかみ」の祠(1470KB)
百八手1(960KB)
百八手2(780KB)
岳の幟1(760KB)
岳の幟2(430KB)
 三頭獅子(450KB)

  
  
  
  
  

 


 塩田平は南に独鈷山、富士岳、西に夫神岳などの山がそびえる小さな盆地です。回りの山々から湧き出す清らかな水は、産川など数多くの川を流れ、千曲川に注ぎます。山に囲まれたこの地域は、信州の中でも気候が穏やかなところで、良質のお米がとれます。江戸時代には「塩田三万石」といわれ、上田藩にとって重要な米穀生産地帯でした。
 しかし山に囲まれた塩田平は、稲作にとって一番大切な雨が少なく、地元の人々は日照りに悩まされてきました。そのため塩田平にはたくさんのため池が作られました。




 「おかみ」の祠(夫神岳) 

「おかみ信仰」
 お米を作る農民にとって「水」は命です。そのような環境の中で、塩田平では水を司る神「」(おかみ)への信仰が厚く、たくさんの「雨乞い伝説」が生まれ、語り継がれてきました。
 「オカミ」とは、雨冠に口を3つ並べ、その下に龍と書いて「オカミ」と読む。日本書紀にある「高(タカ)オカミ」「闇(クラ)オカミ」で、竜神のことと言われ、万葉集にも歌われています。群馬、千葉、京都、奈良、大分と、全国各地にこの「オカミ」を祭った神社があります。
 古くからの雨乞い伝説のある、この塩田平を見下ろす「夫神岳(おがみだけ)」の山頂の祠からも「オカミ」の字が発見され、「オカミ」への信仰があったことが判明しました。このことは、この地における古代の文化の広がりを感じさせずにはいられません。


「百八手」
「雨乞いの行事」

今でも日照りの続く夏の日暮れ時には、それぞれの部落のため池のまわりに集まった人々の焚く、たいまつの火が点々と塩田平を彩り、「雨 降らせ たんまいな」という雨乞いの声がこだまします。

 

 
 
「岳の幟」
「岳の幟(のぼり)」
 雨の少ないこの地方では、数多くのため池が作られましたが、それでも、日照りの時は水が足りなくなり、そこで神事に頼る雨乞いが行われました。
 「岳の幟」は、別所温泉に伝わるめずらし雨乞いの祭りです。毎年七月中旬の日曜日早朝、住民たちが夫神岳(男神岳)に上り、頂上で今年の豊作を祈って、青竹に布を飾った幟の行列をつくって山を降り、おはらいを受けた後、再び行列がつくられ、別所神社まで別所の各地区を巡ります。
 色とりどりの布のついた幟が風にはためき、緑一色の山麓を下ってくるさまは、とにかく見事とというほかはありません。

「岳の幟の起源」
 昔何年も日照りが続き、川の水が絶え、井戸の水も乾いてしまった時、作物ができないばかりか、人間が死んでしまいそうになりました。それで村の人々が相談をし、男神岳と女神岳との両山へお祈りをして、「もしも大雨を降らせて、民をお救いくだされば、あらん限りの供物を差し上げます」と申し上げました。
 そして長い布を張って竜神の姿をあらわして、布を立て並べて行くと、男神岳の山の上に、九頭龍のような形の霊体があらわれて、だんだん女神岳の上の方へ進んで、山を覆ってしまいました。すると間もなく、大雨が降って来て、村人は救われました。これよりお祭りごとに今も、幟をたくさん献じるようになったそうです。